歯科のスタディグループ北九州歯学研究会

活動報告

第48回北九州歯学研究会発表会 質問回答

樋口惣 先生 回答

Q、マトリックス法から表面張力法に切り替えた理由はありますか?

A、マトリックス法でもほとんどの症例で問題はありませんでした。しかし、歯周病により歯間鼓形空隙が大きい症例や、隣接面窩洞の歯肉側マージンがコンケイブ形態を呈している症例などでは、マトリックスを適切にフィットさせることが難しい場合がありました。
また、マトリックス法では少なからずフロアブルレジンがマトリックス外へ漏洩することがあります。

表面張力法は窩洞に適合させて充塡できるため、当初は5級窩洞や非常に小さな隣接面窩洞に使用していましたが、徐々に大きな窩洞にも応用できないか試行錯誤を重ねた結果、現在では比較的大きな窩洞にも対応できるようになりました。

 

Q、透過性の高いCRがレントゲン上でカリエスの有無を診断する際、判断に迷うことがあります。臨床症状がなく、フロスや探針での引っかかりもない場合は経過観察となるでしょうか?

A、「透過性の高いCR」とは、造影性の低いCRという理解でよろしいでしょうか。
ご指摘の通り、デンタルX線写真では判断が難しい場合があります。そのため、辺縁適合性に問題がなく、臨床症状も認められない場合には、経過観察とさせていただいております。

 

Q、表面張力法による隣接面レジン充填の際の歯間離開量の目安について教えてください。また、臼歯部でもアイボリー型を使用されていますが、エリオットタイプを使用されることはありますか?

A、歯間離開量の目安としては、歯内療法で使用する6号ファイルが余裕をもって通過する程度を基準にしています。6号ファイルの先端径は約60μmですので、おおよそ80〜100μm程度の離開量になると考えています。

離開量が大きいほど充塡時の操作性は向上しますが、その分、術後の違和感や咬合痛が生じやすくなる傾向があります。そのため、必要以上に離開しないよう心がけています。

術後説明としては、「2〜3日間は咬合痛や違和感が残ることがあります」とあらかじめお伝えしています。

アイボリー型セパレーターは一般的には前歯部用とされていますが、私は臼歯部にも使用しています。56間までは比較的問題なく装着可能です。

臼歯隣接面にCR充塡を行う際には、必ず7番にクランプを装着し、3番から7番までラバーダムを展開しています。67間にセパレーターを装着する際、7番のクランプと干渉して装着できない場合があります。そのような場合には、ラバーダムシートを指で押さえながら7番のクランプを一旦外し、同時に67間へセパレーターを装着しています。

 

Q、フロアブルレジンのシリンジ先端は何を使用されていますか?

A、松風社製ビューティーシーラントの極細チップ(約27G)を使用しています。
ただし、常に27Gを使用しているわけではなく、窩洞内壁のライニングや仮想象牙質形成など、より繊細な操作が必要な場合に使用しています。

それ以外のケースでは、フロアブルレジン付属の21Gチップを使用しています。

 

Q、シミュレーションAIはChatGPTですか?

A、発表内で使用したAIはGeminiです。

 

 

山本哲史 先生 回答

 

Q、素晴らしい発表聞かせていただきありがとうございます。

普段はインサイザルエッジポジションを決める際tecを用いながら模索する事がおおいのですが、既存の前歯部補綴を除去する前に、どの様にインサイザルエッジポジションを決定しいるのでしょうか?上唇など軟組織の術後をどの様に予測するのか教えていただけたら幸いです。

A、ご質問いただきありがとうございます。

咬合再構成症例において、インサイザルエッジポジション(IEP)の決定は治療設計の起点になると考えております。一般的には、IEPの決定から治療顎位の模索、咬合高径の評価、咬合平面の設定、診断用ワックスアップ、モックアップトライを経て最終治療計画へと進みます。

しかし本症例のような上顎前突症例では、初診時の前歯部がすでに審美的理想位置よりも突出しているため、既存補綴物除去前に口腔内でのモックアップ評価が困難でした。そのため術前段階では最終決定ではなく、暫定的なIEP設定として行っております。

具体的には、

・安静時およびスマイル時の上顎前歯露出量

・リップラインおよび上唇動態

・年齢および性差を踏まえた審美的露出量の基準

これらを総合的に評価し、ノギスを用いたアナログ計測によりおおよその位置を設定いたしました。その後、既存補綴物除去および治療の進行に伴い、プロビジョナルレストレーションにて機能的・審美的評価を繰り返し、最終的なインサイザルエッジポジションは口腔内で動的に修正・決定しております。また、現在はフェイススキャンなどのデジタル技術を併用することで、より客観的なフェイシャル評価が可能であり、今後さらに有効な手法になると考えております。

 

Q、左右でガイドを変えたのはどのような狙いでしょうか?左上前歯もB rになったのであれば左もグループファンクションを選択したくなってしまいます。

A、ご質問いただきありがとうございます。

右側に関しては、犬歯単独への側方力集中を避け、第一小臼歯インプラントへ応力を分散させる目的でグループファンクションを採用いたしました。残存歯周組織量から予知性を踏まえた設計です。

一方、左側については上顎犬歯の支持骨量は比較的安定しており、さらに第一小臼歯までブリッジとして連結されているため、力の分散という観点からは十分な支持が得られていると判断いたしました。そのため、積極的にグループファンクションを設定する必要性は高くないと考えました。

また、グループファンクションは調整精度や長期的維持管理の観点から、犬歯誘導と比較して再現性のコントロールが難しい場合があります。明確な生体力学的理由がある場合には選択しますが、そうでない場合には、よりシンプルで安定性の高い設計を選択することが合理的であると考えております。

咬合様式においては、左右対称であること自体を目的とするのではなく、それぞれの側で無理のない力学環境が構築できているかを重視しております。本症例ではその結果として左右で異なる様式を採用いたしました。

 

Q、初診から治療が終了するまでの治療期間はどれくらいですか?

A、ご質問ありがとうございます。

本症例は、患者様のご都合による治療中断期間を含め、最終補綴完了まで約6年と長期間を要しております。ただし、継続的に治療を行った期間としては、実質的には4年程度であり、主な治療期間は以下のプロセスに充てております。

・基本治療および再評価

・咬合再構成の設計およびプロビジョナル期間

・最終補綴装置への移行

結果として治療期間は長期にわたりましたが、各ステップで再評価を重ねながら慎重に進めた症例と捉えております。

Q、支台築造はメタルコアを使われてますがこれはレジンコアに比べて破折が少ない金パラのメタルコアと考えてよろしいでしょうか?よろしくおねがいします

A、:本症例においては、支台築造に関しては、歯質残存量および支台築造のコア部の厚み、咬合負荷を総合的に評価し、レジンコアとメタルコアを使い分けております。

またメタルコアは金銀パラジウム合金によるメタルコアを選択いたしました。

Q、素晴らしい講演だった!頑張ってるね。今後、この症例を長期に診てあげて下さい。今後この症例を講演で使う時、もっと具体的にインサイザルエッジポジションを決定したか、術前の咬合高径の評価と術後の高径の変化も合わせて講演するともっと良くなると思います。

A、温かいお言葉をいただきありがとうございます。大変励みになります。

本症例については、今後も長期的に経過を追いながら評価を続けていきたいと考えております。

またご指摘いただいたインサイザルエッジポジションの決定過程や、術前の咬合高径評価および術後の高径変化については、今回の発表では十分に掘り下げることができませんでした。

IEPの設定および咬合高径の評価は本症例の設計上重要なポイントであり、今後講演の機会をいただく際には、診断過程や数値的評価も含め、より具体的に提示できるよう整理していきたいと考えております。

貴重なご助言をありがとうございました。

Q、セファロがなかったので、わかりませんが、写真で見る限り上顎前突傾向の2級に見えました。上顎の小臼歯抜歯の治療ゴール設定は計画にありませんでしたか?

A、ご質問いただきありがとうございます。

ご指摘の通り、小臼歯抜歯を伴う矯正治療も選択肢として検討いたしました。しかし本症例は歯周炎を伴い、歯周支持組織がすでに減少している状態でした。そのため、歯牙移動に伴う歯周組織へのリスクに加え、便宜抜歯により支持歯数が減少することで、残存歯への咬合負担が相対的に増加する可能性も考慮いたしました。

 

広汎型重度歯周炎症例においては、「歯のポジションの是正」が常に有利に働くとは限らず、支持組織の総量および力の分配バランスをどのように維持するかが重要であると考えております。

よって本症例では、歯周組織の安定を最優先とし、大きな歯牙移動を伴う矯正介入よりも、既存の歯列を基盤とし、補綴的アプローチによって機能と審美の最適化を図る方針といたしました。

 

 

樋口琢善 先生 回答

 

Q、対合歯がインプラントやジルコニアなど硬い補綴物の場合、義歯の人工歯が経年的に摩耗し、その結果として前歯部の咬合接触が強くなる印象を持っております。

そのようなケースでは、咬合面をメタルバッキングにされたり、臼歯部を陶歯に変更されたりといった工夫をされていますでしょうか。

A、そのような場合は基本的には咬合面はメタルに置き換えています。

 

Q、左下天然歯とインプラントを連結した症例において、(対合歯が義歯の場合)連結しないで近心カンチレバーで対応した場合、連結した場合と比較してメリットデメリット等はありますか。

A、カンチレバーのメリット:歯の圧下(イントルージョン)の回避:メンテナンスの簡略化: 補綴物がセグメント化されるため、将来的にどちらか一方にトラブルが起きた際、修理や再製作の範囲を限定できる。インプラントへの負担増: カンチレバー(延長)部分はインプラントに強い屈曲モーメントをかける。つなげると天然歯とインプラントで荷重を分散できるがカンチレバーだとインプラントのみで全荷重を負担することになる。メリットデメリットは存在するが、咬合の与え方の方が重要ではないかと個人的には考えている

 

 

中島稔博 先生 回答

 

Q、左上4はいまだったら連結すると言われてましたが、個人的には単冠でいいやん、と思ってしまいます。高齢の方でプラークコントロールのこともあると思いますが

A、犬歯はガイディングトゥースで側方圧がかかるため、長期的にセメントのウォッシュアウトが生じる可能性があるため、4までの連結の方が強固と考えています

 

Q、先生は今でも残根にはメタルコアですか?

A、クラウンフェルールが確実に確保されればファイバーポストとレジンコアを使用しています

 

Q、動揺の大きい左下5を保存したのは左下67がインプラント治療了承されたからでしょうか。義歯を選択されても保存したのでしょうか。

A、5番の動揺の原因は付着の喪失による骨吸収ではないので、動揺が収束し、レントゲン的にも正常な状態に改善すれば、パーシャルデンチャーの設計でも左下5は保存して、臨在歯と連結固定すれば対応できると思います

 

 

筒井裕介 先生 回答

 

Q、クレンチングタイプとグライディングタイプでスプリントの違いがあると発表で言われていましたが、違いについて教えて下さい。よろしくお願いします。

A、スタビリライゼーション型のスプリント(ナイトガード)はクレンチング型、グラインディング型問わず使用しております。

分けて使用する場合は、クレンチング型はフラットなテーブルで前歯部のみ咬合接触したタイプのものを、グライディング型は臼歯まで咬合接触しますが、フラップを前歯部につけて側方運動でディスクルージョンするタイプのものを使用する場合が多いです。

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