歯科のスタディグループ北九州歯学研究会

活動報告

【2021年2月14日】オンライン講演会 チャット質問に対する回答

>津覇
エルビウムはどのくらいの出力でおこなわれていますか?
歯髄断髄の照射の目安の論文は今の所ありませんが私は20pps40mjでおこなっています。チップはC400Fで行っております。
しかし、チップの先端の磨耗状態や照射距離で当たる力は変わってきますので、
カリエス除去、歯髄の周りの感染歯質除去を行う際にはわりと近めの照射ですが
歯髄に照射する際は少し離して照射しながら精製水を満たし、止血を確認しながら行っております。また断髄を深くする場合は注水をとめて炭化させながら照射を行います。

 

>青木
使用する超音波ファイルはエアスケーラーレベルで可能でしょうか?
すいません。エアスケーラーを使用していないのでわかりません。
ちなみにパワーですがモード関係なしに持っている超音波スケーラーの最大の強さを20とすると2/20くらいのパワーで使用しております。象牙質が少しでも削れたら良いパワーです。

 

破折ファイル除去は保険外算定ですか?
ケースバイケースですが、ファイル除去に平均4,50分かかりますので紹介で来られた患者さんには保険外でさせていただくこともあります。

 

>樋口惣
カリエス診査は、咬翼法が適当かと思いますが、先生はどの様に思われますか?

ご指摘の通り、カリエス診査に咬翼法は必須だと思います。
今回の発表ではお時間の都合で、透照診にスポットを当て話させていただきましたが、当院ではカリエス診査に咬翼法は必ず行っております。ただ咬翼法では透過像を認めなくても、透照診でクラックを認め、実際削っていくと象牙質内で脱灰が拡大していることもよく経験します。咬翼法、透照診、歯間を離開させてマイクロスコープ下で視診など複数の診査を行い、治療介入するか決定しております。

 

昔、クラレさんから、マーキングバニッシュという製品が出ていました。これは形成前に青色のバニッシュを塗り、CR充填終了後、研磨することにより、オーバー充填を防ぐためのものでした。
その後、廃版になったのでメーカーに理由を聞くと、ジャストに充填すると、重合収縮により、マージンからの漏洩が起きるため、充填はオーバーにしてから研磨する必要があることが分かった為とのことでした。
現在のフロアブルCRでは3パーセントほどの収縮があります。積層充填である程度、回避できると思いますが長期的にみたマージンラインの状態はいかがでしょうか。

 

クラレさんのマーキングバニッシュという製品は存じ上げませんでした。貴重な情報ありがとうございます。
確かにフロアブルレジンはペーストタイプのレジンに比べ重合収縮率が大きいです。
光照射後、重合収縮によりマージン部のエナメルが引っ張られホワイトラインが出現することもあります。
少しでも重合収縮を補償するために、プライミング、ボンディングンの後、光透過性の高いA1ハイフローのフロアブルレジンを1mm以内の厚みで一層塗布し、十分な光照射を多方向から行います。そうすることで、象牙質、ボンディング層、一層目のフロアブルレジンの間に強固な接着ができます。
その後積層充塡していくことで、フロアブルレジンの重合収縮が補償されます。
また、重合収縮によるマージン部のエナメル質の破壊を防ぐために、窩洞辺縁のエナメル質を研磨用のバーで研磨しております。これはダイヤモンドバーの切削のみでは、エナメル質に多数のクラックが生じており、そのまま接着操作を行うとフロアブルレジンの重合収縮の影響でエナメル質が一部破壊されるからとのことです。
この接着操作と表面張力法による充塡を初めて4年ほどしか経過しておりませんが、マージンラインの褐線などは、オーバーに充塡していたときに比べ少ないように感じております。

 

>松木
ファイバーポストの長さはどこまでいれれば良いですか?
ご質問ありがとうございます。ファイバーポスト・レジンコアの長さについては、ポストの接着方法は何かで考え方は変わると思います。
直接法や間接法において、スーパーボンドなどの化学重合や、デュアルキュア型のコア用レジンでファイバーを接着する場合はある程度深くポストを形成しても接着が期待できると思いますが、光重合型のコンポジットレジンで接着させる場合は光が届く範囲に留めないといけないと思います。
私は光重合型のレジンを用いていますので、しっかりと根管内に光が届く場合で最大5mmくらいまでの長さにとどめ形成しております。

 

コンポジットレジンの変色について患者さんにはどのように説明しておりますか?定期的なやり変えを事前に説明しているのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。はい、コンポジットレジンの変色や着色、破損の可能性については事前に説明しております。
定期的ではございませんが、そのような審美的な問題が生じた場合は修復して対応するようにしております。
費用についても修復を含めた管理料を含むものとして説明させていただいております。

 

>松延
全顎矯正後の上顎前歯部補綴が連結しているのは、矯正で前歯部後方移動しているからその保定の意味があると考えてよろしいのでしょうか?
私の経験上4前歯が連結されていても舌癖等で後戻りしOverJetが大きくなり2番3番間にスペースが開くことがあります。
先生はこの症例で可撤式リテーナーは使用されているでしょうか?しないのでしたらそのお考えを聞かせていただきたいです。

 

ご指摘の通り、前歯部を連結したのは保定の意味があります。
私自身まだ臨床経験が浅く、先生がご経験されている後戻りに関しての経験がないためリテーナーは使用しておりません。
強い咬合力が疑われるためナイトガードをして頂いていますので、リテーナーの代わりになっているかもしれませんが、今後経過を見ていきたいと思います。
ご意見ありがとうございました。

 

>瀬戸

第1小臼歯近心面の咬翼撮影の上手い方法はありますでしょうか?

阪神のインジケーターの臼歯部用を使用しています。インジケーターにデンタルの端がどこにくるのかをマジックでマーキングしておくと、その線よりも4番の近心を内側にもってくれば良いと思います。
また、口蓋が浅い人、歯列の小さい人はできるだけ口蓋の最深部に、舌側の舌寄りにデンタルがくるように、スポンジの一番外側を噛ませるとよいのではないでしょうか?
その際に痛いようであればワッテか何かをあててください。

 

歯冠乳頭を切開することで、骨再生に有利に働く理由をご教示いただければと思います。

説明が不足していたことをお詫びいたします。
「私の拙い手技では歯間乳頭部の弁を剥離しないとデブライドメントが確実にできないので歯間乳頭部の弁を剥離してデブライドメントすることで骨再生に有利に働く」という意味で、「歯間乳頭部の弁を剥離すること自体が骨再生に有利に働く」という意味ではありません。
コルテリーニ先生の話ではデブライドメントが可能であれば、歯間乳頭部の弁は剥離しない方が再生に有利ということになっています。

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